失敗の記憶

思い出したくない山中です。

長くデザインをしていると、思いだすのもつらい仕事があります。これもその一つ、当時、クライアントが明らかに喜んでいないのを感じつつも、なんとなく釈然としないまま仕事を終えてしまったことがありました。 分からなかったのでつらかったですね、でも今は分かります、しっかり理由が。

画像は25年以上前の記録です。建材の展示会施工中の会場写真です。 出窓が、その当時の建材で流行っていたことを覚えている方はいるでしょうか? 住宅デザインも、工業化されることでファッションと同じようなトレンドが生まれました。出窓が当時のトレンドだったわけです。 ある建材メーカーから出窓デザインを依頼されました。その依頼を受けた時点で企画意図を明確に確認できなかったのが失敗の要因でした。 具体的な説明を省いたのは、クライアントが我々デザイナーとしての力量を試していたのかもしれません。今思えばですが。 外部デザイナーを採用するのですから、社内デザイナーとは違う発想を求めたのは当然です。 ただあまりにも雑な依頼でした。その時点で、私たちはこの依頼は色や質感を含めたスタイリングの仕事であると決めこんでスタートしてしまいました。 初めてのプレゼンで、この仕事がスタイリングの仕事ではないことに気が付かされました。クライアントが参考に提示してくれた社内プレゼン資料を見せられやっと、これはスタイリングではなく出窓のある生活を提案する仕事であることが分かったのです。

現在YKKサッシのTVCFで、窓が人の生活に与える役割についてとても上手くメッセージにしているのをご存知でしょうか?簡単に言えばこのCMのように、素敵な生活を与えてくれる出窓って何でしょう、というストーリーを提案しなくてはいけなかったのです。 そこに気が付かず、こんなインテリアにはこんなかっこいいスタイリングがマッチしますというプレゼンをしてしまったのです。最終的にリクエスト通りの体裁で企画書をつくり、デザインモックも制作しましたからそこまで失敗ではなかったかもしれません。とは言え、いまだに悔しい思いにさせられデザイン案件です。 デザイナーの仕事を考えるうえで、ときたま思い出す、思い出したくない失敗の記憶です。

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