P社のハイスタイルオーディオ

山中です。この記事は、以前社長の思い出というページでご紹介したことがあります。新たに発見した写真も合わせて再度のご紹介です。このプロジェクトは百貨店などのプロデュースをしていた、インテリア系のプロダクションZF社の案件でした。コンセプトとデザインディレクションはZF社のT氏が担当、デザイナーとして私が参加しました。他社のデザインディレクターに従うという貴重な体験でした。上司のデザインディレクションとガラリと違うディレクションで、デザインの解放感を味わったことを思い出します。思い返せば、このプロジェクトでの経験が、私のデザインの礎になったんだと思います。
コンセプトのタイトルは「ハイスタイル・オーディオ」、と命名しました。T氏は、当時百貨店などに、都市の生活者に向けて「アーバンモダンデザイン」というライフスタイルを提唱していました。今でいうミニマルデザインですが、この当時はアーバン何とか呼んでいました。

2点のスケッチが選ばれ、ラフモデルを作りました。一つは、サブウーハーのコアユニットに、スピーカーアンプが組み合わさったデザイン、もう一つは、正方形で構成されるデザイン。スピーカーはスポンジ、アンプは人造大理石の質感をねらっていました。

ラフモデルとはいいながら、かなりモデル屋さんには難しいことをお願いしました。3Dプリンタのない時代、スポンジの塊をこの波形に加工するのは大変な技術が必要でした。モデルの評判も良く、ワーキングモックに移行することが決定しました。

しばらくして完成したのワーキングモックがこの写真です。想像以上のモックの仕上がりに感動したのをはっきり覚えています。CDプレーヤーもダミーとは言えCDもマウントしてありました。音源はラジカセでしたが、サブウーハーもちゃんと効いていました。


P社のデザイン室でリモコンデザインに合わせて、当時はやり始めていた小型テレビも独自にモックアップを制作していました。リモコンのデザインは今でもかっこいいな、と思ってます。


デザインの社内評価も高く、商品化を待つばかりだと思っていました。しかし、そう簡単にはいかないもので見事にお蔵入りです。どうも、業界では著名なO部長の判断だったようです。残念でなりません。P社での打ち合わせで忘れられない出来事がありました。何回目かの打合せの席上、担当のデザインH室長が著名なO部長に罵倒されるのを目撃しました。外部の私たちがいる面前での出来事でした。H室長への強烈な個人攻撃でした。異常な状況に唖然としました。暗に私たちのデザインを否定されたような、いやな気分になってしまいました。このあとH室長は営業に移動させられたということです。これはホント、ショッキングでしたね。企業デザイナーの過酷さを肌で知ることになりました。結局、市場には出ませんでしたが、デザイナーとして学ぶことがたくさんあったプロジェクトでした。

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