デザインと野村克也氏

野村克也氏が亡くなりました。すでに多くの方がコメントされているように、プロ野球界に多くの功績を残された偉大な野球人です。しかし彼のプレイヤーとしての能力よりも、彼の語る野球観に私は魅入られました。プロ野球といえば天才たちの集団です。長嶋の逸話で、来た球をこうバーンっと打つんだよ、と訳の分からないバッティング指導は、天才でしかわからないイメージのバッティング理論です。こんな指導された若い選手はたまったものではありません。その点、野村氏は野球をきちんと言語化して選手を指導していました。つまり野村氏だけが野球を設計・デザインすることができたのです。野球を合理的に美しく完成するためのスキル、これは間違いなくデザインです。

野村氏だけが野球を言語化できると指摘していたのは、Web千夜千冊を主宰する知の巨人、松岡正剛氏でした。松岡氏の著書「知の編集工学」のなかでは編集とは「該当する対象の構造を読み解き、それを新たな意匠で再生するものだ」 と述べています。とすれば、まさに編集とはデザインそのものなのです。雑誌の編集作業で行われる、様々な情報(記事・写真・図表)を読者に相応しく再構成する行為は、機構部品や操作部をユーザーに向けて再構成する製品デザインと同じです。そして、野球の監督もデザイナーも目指す者はそのプロジェクトの成功であることでも同じです。野球の大功労者、野村克也氏の冥福を心よりお祈りしたいと思います。

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