2021年デザインメッセージ
昨年冒頭のメッセージで、「ゼノデザインは、この複雑、不安定なこの世界で、デザインができることを探し続けたいと考えています」と結びました。奇しくも、2020年は誰もが予想しえない「複雑な年」になってしまいました。日々を安全に暮らすために、ここまで緊張感が必要になってしまうとは、だれが想像したでしょうか。2020年を境に、今まで使っていた価値を測る物差しが使えなくなってしまったのです。逆に言えば、そんな現場に立ち会える機会はめったにないとも言えます。そんな時代にデザインは何ができるのでしょうか?
ゼノデザインは、「こだわりに、こだわらない」をデザインフィロソフィーにしています。真意はデザイナーのこだわりが、かえってデザイン表現を窮屈にしていないかとの自戒を込め、あえて挙げているメッセージです。2020年を経験したことで、「こだわりに、こだわらない」をさらにバージョンアップする必要性を感じました。つまり「こだわりに、こだわらない」すらこだわらない姿勢こそが、この時代に相応しいのではないかと考え始めました。予想のつかない時代に、固定的で自由の効かないデザイン的こだわりはかえって時代を見誤ってしまうのではないでしょうか。昨年のデザインメッセージでも取り上げた、欧米のビジネストレーニングにアートが取り上げられているという事実こそ、今までの定量的な価値判断が機能しなくなった証拠です。これからは、ビジネスもデザインも固定観念を持たないという姿勢が大切であると、ゼノデザインは考えています
代表 山中 道男