昔話法廷、桃太郎は犯罪者か

Eテレウオッチャー山中です。Eテレで小学生向けに放送されている「昔話法廷」をご存知でしょうか?裁判員制度が導入されたことから、裁判に対する理解を深めるために制作された番組のようです。しかし、しかし、子供番組と言って侮るなかれ、トップシナリオライター、豪華な俳優陣をキャスティングしてことで、なかなかの見ごたえです。誰もが知っている昔話に潜んでいる犯罪性をテーマしています。ただこのテーマ自体は、決して新しくなく、古くは芥川龍之介までもが同様の試みをしています。

https://www.nhk.or.jp/school/sougou/houtei/

「昔話法廷」はすでに、三匹の子豚、カチカチ山などが放映されています。そのすべてがHP上で見ることができます。15分ほどなので気安く観ることができます。今回ご紹介する昔話法廷”桃太郎”裁判は30分の拡大版です。脚本は『世界の中心で、愛をさけぶ』JIN-仁-』『義母と娘のブルース』などの売れっ子、森下圭子さん。また俳優陣は桃太郎の弁護人に佐藤浩市、検察官に天海祐希、桃太郎には仲野太賀、赤鬼の妻役には仲里依紗といった豪華さです。キャスティングについては森下圭子さんのインタビューが興味深いのでぜひ読んでください。

https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=28494

桃太郎の容疑は、鬼ヶ島で行った鬼退治を、強盗殺人であると検察側に決めつけられます。昔話法廷では、鬼の立場を差別される弱者の視点で語られています。桃太郎にしても、桃から生まれたという出自を村人から差別されていたことが明らかにされます。つまり、誰が正義であるかを簡単に決められないという極めて現代的な構造が提示されます。昔話の桃太郎だけではなく、三匹の子豚にせよ赤ずきんにせよ、そこで展開する物語は、いとも簡単に暴力が行使され、さらに肯定されます。前提として昔話だからファンタジーだから、暴力はOKであると勝手に私たちは認めてしまっています。私たちの既成概念は一朝一夕では簡単に変えられないものなのですね。一度習慣化されてしまうと、問題の本質を見失ってしまうことが多くあります。昔話法廷で、多くの気付きを与えてくれました。

今回の昔話法廷”桃太郎”裁判は、何と言っても俳優の力です。弁護士役の佐藤浩市、検察官役の天海祐希、この二人の俳優が醸し出す説得力がこの番組の格調のすべてだといえます。

この番組を見ることのできた子供たちがホント羨ましい、子供の時に見たかったな。

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